日本人作曲家によるピアノ曲の演奏と研究をしています。
2018年には、CD山田耕筰ピアノ作品集をリリースし、「レコード芸術」誌の【特撰版】に選出されました。これまで未収録だった作品を取り上げるとともに、一次資料にあたり、各出版譜と精査した校訂報告を載せたブックレットは、その資料的価値も高い、と評されました。黎明期から戦前、そして戦後から現代に至るまでの日本人作品にロマンを感じるのは、スタイルは多種多様であっても、そこに風土や文化、そして脈々と受け継がれる私自身や身近な人々の祖先の息吹が感じ取れるからかもしれません。そこには、知識として知っている歴史が、音楽の力を借りて現在に蘇る感動があります。私の活動は、そのような先人たちの素晴らしい遺産を埋もれさせずに光を当てたい、という気持ちと感動が原動力になっています。また、2021年にはVacances Musicales(バカンス・ミュジカル)というクラシック音楽レーベルを仲間と共に立ち上げ、未出版作品を出版するプロジェクトに参加したり、出版社の日本人作曲家の出版にあたりスタッフとして協力させていただいたりしています。
演奏のほうでは、ピティナのご協力をいただき、演奏動画を多数配信しています。動画配信では、上級者向けの作品だけでなく、ピアノ教育現場で日本人作品を学習し、演奏する子供たちが増えることを願い、こどものための作品集も多く取り上げています。これは、子供たちのステージを多く見る中で、日本人作品を演奏する方々が、まだまだ少ないと感じるからです。未来に繋がる子供たちが、自国のものを身近に愛し、芸術文化が発展する未来であってほしいと願います。
また、現代の作曲家の作品では、新曲の初演や、委嘱も積極的に行っています。今生きる自分が、今生きる作曲家の作品を演奏し、今生きる聴衆と共有できる、奇跡的な時間は宝です。
杉浦菜々子
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